スイングの本質とメカニズム 開設 : 2018-1-16)                2021-5-17.

    テニススイングは科学(物理学/力学)の視点で考え、「自然×シンプル=合理的」であり、無理と無駄を省かなければなりません。

  
「基本に戻れ」 Back to the Basics と言いつつも、硬式テニス、特に片手バックハンドには筆者の知る限り、基本らしきものが未だに存在しません。
  令和2月に亡くなった野村監督が
「野球は頭でするものだ」と述べ、最近、男子ゴルフの第一人者である青木功氏も、ある月刊誌上で
 
 「ゴルフは頭を使わないと出来ないスポーツだ」と述べているように、テニスの技術も、頭(理性)を使って基本をマスターし、レベルアップ
  
すべきではないのでしょうか。
 
 特に問題なのは、科学的思考能力とは隔絶された片手バックハンドの進化の遅滞です。
  5年ほど以前にアメリカのある著名なコーチが、フォアハンドの進化と比較して、片手バックハンドの進化が遅れていると指摘されていましたが、

  筆者の知る限り、ここ40年以上もの長期間、片手バックの技術の進歩は停滞し、依然として科学とはほぼ無縁の状態が続いています。

  このホームページではテニススイングを科学的にとらえ、どうすれば無駄なくレベルアップできるかを考えていきたいと思います。  


 
グリップ : 打球の主役は手の平 (=ラケット)です。ボールを打つのは手の平 (=ラケット)です


 
 ラケットとはアラビア語で<手の平>を意味する由。ラケットは手の平の補助/代替ギアに過ぎません。
 
グリップは、①必ず、打点に合わせてつくり、②スイング方向の真後ろを手の平でしっかりと支えねばなりません。 (第1、2図参照)
 
 第1図 グリップ : 親指と人差し指が作るV字の位置           

 第2図 ヴィーナスヒル(VH)=
    手の平の最強スポット

  

  

 
ウエスタン/セミウエスタングリップ
  &バックハンドの場合
  手の平とは、生命線で区切られた、
  親指の付け根の膨らみ部分
手相占いで
  
金星丘 (VENUS-HILL;ヴィーナスヒル)
  と名付けられた部分です。  
 
 
※イースタングリップの場合、
  手の平とは、手の平のほぼ中央部分です。 
 ※ヴィーナスヒルは手の平の最強スポットです。
  バックハンドは、この真芯を外したグリップでは
  ボールを強く打つことが出来ません。
 


 正しい打点の位置・・・スイングの支点となる体幹との位置関係 (第4、6図参照)
  

 インパクト時点でのグリップの位置/方向は、当然、ショットの種類、打点の位置/高さなどによって異なりますが
 基本となるフラットの場合、
フォアハンドもバックハンドもラケットを持つ利き腕の肩の
約20斜め前です。
 ラケットと下腕の角度は通常約135度です


 
勿論、打点は、フォアハンド/バックハンドも頸椎/前肩をスイングの支点とする自然な円/半円/直線軌道上にあります。
 但し、ボレーは頸椎/前肩をスイングの支点とする直線軌道上とする方が、より力強く正確な打球が可能となる筈です。

     

 フォアハンドフラットの打点・・・
打点の位置は横向きの身体のほぼ左腰の斜め前方付近にあります。
 最も力強く正確な打球が可能な打点の高さは、ストロークの場合、ほぼ腰の高さです。
 ボレーは、力強さ/コントロールの正確さと確実性を望むのであれば、FHもBHも目の高さがベストです。


 バックハンドフラットの打点・・・
フォアハンドの打点位置よりも、ほぼ両肩幅分前方方向にi位置します。
 最も力強く正確な打球が可能な打点の高さはフォアハンドよりも
約20ー25cm高く、ほぼ鳩尾-胸付近ですが、
 
<EEタイプ>でならば、打点が胸ー肩ー頭上までの高いボールでも充分強い打球が可能です。


 
バックハンドの手の平とは・・・バックハンドの場合、手の平とは、親指の付け根の膨らみ部分、つまり、手相占いで
 金星=Venus-Hill ヴィーナスヒル(VH)と名付けられた部分です。手の平の最強スポット(真芯)です。
(第2図参照)

 
正しいフラットグリップのつくり方

 
 の位置/方向に要注意!フォアとバックとでは違います。手の平とラケットの打球面を自然に正しく前方に向ける・・・・・・
  正しいグリップをつくる場合の注意事項 :


  
①身体の向きは横向きで、前肩を前方に向ける。(スクエアスタンスの場合、両足の爪先を結ぶ直線の延長線上に前方ターゲットがある)
  ②ラケット面を打点の位置に、地面に直角にセットし、ラケットを利き腕で掴んだグリップが自然で正しいグリップです。
   打点の位置は、トップスピン、スライス、ボレーの場合、スイングの仰角/俯角によりますが、フラットの場合よりも身近に位置します。


 
フォアハンドは肘を体幹に引き寄せつつ下腕を前方に向けて振り、肘を下方に向けた状態で打球する。
  従って、グリップつくりも同様、脇を閉め肘を体幹に寄せ、ラケット面を打点に合わせた構えでグリップをつくること。


 
バックハンドは、フォアハンドとは逆に、脇を開け、ヒジ/上下腕を打点に向けて伸ばしつつ、殆ど伸ばし切った状態で打球する。
  従って、グリップつくりも、脇を開け、ヒジ/上下腕を前方打点に向けて伸ばし、ラケット面を打点に合わせた構えでグリップをつくること。


 ◆正しいグリップ
  下記のグリップが、手の平(=バックハンドの場合はVH)と、打点/スイング方向にも合致し、ラケット/ボールへのベクトル
  (運動の方向量=スイング/打球パワー)の伝達を最強とするグリップです。・
・・・・・第1図及び下表参照!

  
フォアハンド(FH)グリップ : ① イースタン、 ② コンチネンタル、 ③ ウエスタン、④ セミウエスタン・・・・・・第1図参照

 
 バックハンド(BH)グリップ : ① BHウエスタン、 ② BHセミウエスタン、 ③ BHフルウエスタン ・・・・・・ 第3図参照 
  

 
バックハンドの場合、スイング中の不自然な手首のコックや捻りは邪道です!グリップづくりに誤りがある証拠です。スイング中/インパクト  
   直前のラケット面の調整操作はスイングの不安定要素となり、必然的にスピードとパワーダウン、ミスショットの原因となります!


グリップの種類 フォアハンド(FH) グリップ ・・・・・・ 第1図参照 バックハンド(BH) グリップ ・・・・・ 第1、3図参照!
 コンチネンタル ■手の平=スイング方向≒ラケットの打球面
スイング方向の真後=第1図表示部分を手の平(中央部分)と
指で支える、握りが薄く、ボールの強い衝撃に弱い

■推進/押すグリップ

*肘のバックアップ(=推進力)は弱い
*適応ショット=スライス、ボレー、サービス、スマッシュ
手の平≠ラケットの打球面
※応急グリップとして重要
手の平とスイング方向が完全に不一致(真逆)で、手の平の
支えが無く弱いグリップでは、強いスイング/打球には無理がある
スイングは弱い<押すスイング>となる

*適応ショット=主にスライスと、グリップチェインジを
行う時間的余裕のないサーブアンドボレー/バックボレー
 イースタン

 
■手の平=スイング方向=ラケットの打球面
スイング方向のほぼ真後ろ=第1図の表示部分を手の平
(中央部分)で支える握りが少々薄く、ボールの強い衝撃に少々弱い

推進/押すグリップ
肘のバックアップ(=推進力)は少々弱い

*適応ショット=フラット&トップスピン
手の平≠ラケットの打球面=実用には不向き
手の平とスイング方向が殆ど真逆(不一致)で手の平の
支えが無い弱いグリップ
では、強いスイング/打球は不可能
スイングは弱い<押すスイング>となる 適応ショットは全て太字に
*適応ショット=なし 但し、プロ選手は、バックハンドフラット        
/トップスピンに多用しているが、ボールを強く打てない
 ウエスタン  ■手の平=スイング方向=ラケットの打球面
スイング方向の真後ろ=第1図表示部分
手の平(ヴィーナスヒル)で支え、ラケットの保持力/
打点に向けての牽引力が強い<牽引/引くグリップ>
適応ショット=トップスピン&フラット 
*身体の構造上、スイングは多少窮屈となります
■手の平(ヴィーナスヒル)=スイング方向=ラケットの打球面
スイング方向の真後ろ=第1図の表示部分を、
手の平(ヴィーナスヒル=VH)でしっかりと支え、
握りが厚くて強く、ボールの強い衝撃に強い

打球は最強の<牽引/引くグリップ>
*適応ショット=BHフラット&トップスピン
 セミウエスタン ■手の平=スイング方向≒ラケットの打球面
スイング方向の真後ろ=第1図表示部分手の平
(ヴィーナスヒル)で
支え、ラケットの保持力/打点に
向けての牽引力がかなり強い<牽引/引くグリップ>

*適応ショット=スライス&ボレー 適応ショットは全て太字に
*身体の構造上、スイングは多少窮屈となります
■手の平(ヴィーナスヒル)=スイング方向≒ラケットの打球面
スイング方向の真後ろ=第1図の表示部分を、
手の平(VH)で支え、握りは少々薄いが
 
■打球は相当強い<牽引/引くグリップ>

*適応ショット=BHスライス&BHボレー

 ※強いボールを打つためには、手の平/グリップとラケットの打球面またはスイング方向との完全一致が必要条件です

 
    第3図 
バックハンドショットの基本グリップ  

   


  グリップの矢印部分にヴィーナスヒルを添えるのがポイント
   肘を体幹から離して上げ、前方打点の高さに向けないと、
   ヴィーナスヒルもラケットの打球面もかぶり気味(下方向き)と
   なるので要注意!
            
 第4図  打点の位置・・・・・スイングの支点との位置関係 (概念図)
            
              打点はフラットの場合です 
           
  打球の構え

  
テニスは足ニスです
「ヨーイドン」の構えをつくり、相手がボールを打つ時点では静止して身体を相手に向けて正対し、
   相手がボールを打った瞬間に、足を動かして適切な打球地点に移動するのが基本です。

  
※陥り易い誤操作 : 結構多いのですが、相手が打球の際に、本人が静止せずに動いていては、正しい守備/返球の構えを作れません。
・・
 ◆打球の際には、身体は横向き (上半身だけでも) とし、前肩を前方ターゲットに向けるのが自然で基本!
  
    身体は自然体に構える。つまり、背筋を伸ばし、頭を垂直に立て、膝を軽く曲げて腰を少々落とし、打球する相手に
   前肩を向けて上体だけでも横向きに構える。これが足腰を含めた全身の力強く、正確なショットを可能とする条件です。
   両足の構えはスクエアスタンスが基本です。両足の爪先を結ぶ直線の延長線上にターゲットが位置します。

 
 実戦では身体を前向きの状態で対応せねばならないケースが多いのですが打球は極力横向きで行うのが基本です。

 
 身体を横向け(=自然体)とする理由と目的は
  
打球のパワー強化 フォアハンド(FH)では肘の推進力バックハンド(BH)では肘の牽引力を最強とするため、
   フォアハンドでは、肘を体幹(体軸)に強く引き付けることで、力強く正確な<押す(推進)スイング>を可能とし、
   バックハンドでは、肘を体幹(体軸)から強く引き離すことで、力強く正確な<引く(牽引)スイング>を可能とする。

  
自然なスイング軌道 体幹(FHでは頸椎、BHでは右肩))をスイングの支点とする自然なスイング軌道=
   円/半円/直線軌道を作り、手の平(グリップ)を正しく前方スイング方向に向けるため。

 
  ※①、②により、スイング/打球の強弱、飛距離、飛球方向の正確なコントロールが可能となります。 

 
 
打点が低い場合 : 膝を曲げて腰を落とし、身体の重心を下げるのが基本です。
 
 身体が腰高でラケットダウンするだけの場合には、ミスの確率が確実に高まります。特にバックハンドでは要注意

  

 
※テニスの習得と上達を妨げ、凡ミスを多発する最大の原因は、上記の基本/原則の軽視/無視/不備にあります。

  
  第5図 片手バックの自然なフォロースルー(概念図)
        
            
  ※片手バックでは、インサイドアウトの軌道上でボールを捉え、
   前方にラケットと肘を向けて突き出し、フォロースルーを
   行うのが基本です。
実質的なフォロースルースパンは
    極めて短くなります。

     
 
第6図 スイングの支点と打点との関係(概念図)
          
      
 
   ※上図のバックハンドの打点位置は、フラットの場合です。
   トップスピン、スライス、ボレーなどの場合、より身近となります。


   
 テイクバック : 意図するスイング軌道上へのダイレクト(直接)コンパクトテイクバックが正しいテイクバックです。 
   
テイクバックは、フォアハンドもバックハンドもラケットを直接、フォワードスイング開始位置=打点の真後ろ、
   即ち、<ラケット⇒肘⇒打点>を結ぶ自然なスイング軌道の延長線上へのセッティングの
完了でなければなりません。
  
※但し、バックハンドのトップスピンを打つ場合には例外であり、<ラケット⇒打点>のスイングの延長線軌道上へのセッティグ完了が基本です。

 フォアハンド・・・
ラケットを意図するスイング軌道上の真後ろ=スイング開始地点に直接セットするのが基本です。
  つまり筆者は、伊達公子式が、唯一正しいテイクバック方式
ではないかと考えます。

  
※筆者は、プロ選手がフォアハンド側で行うハイポジション/サーキュラーテイクバックの効果/意味があるのか?ないのか?甚だ疑問です。 

 バックハンド・・・
テイクバック時のラケットだけでなくフォワードスイング始起動点であるヒジの位置も、意図するスイング軌道上の、
  スイング開始位置にセットすべきです。何故ならラケットを持つ利き腕のヒジを前方の打点方向に向ける態勢をつくっておかねば、
  正しく効果的にヒジの機能をうまく活用するラケットの牽引スイング=<引くスイング>が不可能だからです。
  但しトップスピンは例外であり、フラットと同様なテイクバックで事足ります。何故ならトップスピンのスイングはフラットと同様な
  テイクバックの構えを崩さずに、ヒジ/下腕/ラケットを一体として前方上部へ向けて振り上げるスイングだからです。

  また、テイクバック時には、採用するグリップづくりを完成しておかねばなりません。


 ※直接ダイレクト/直線的ストレートテイクバック(コンパクトテイクバック)の大きなメリット:
 
 ①打球の構えづくりのタイムロスを最小限に留め、速攻が可能。少なくとも、振り遅れを防げる。
  ②迅速なラケットとヒジのセッティングおよび打球
態勢づくりが可能となる。
  ③バックハンドの場合、長い<ラケット牽引可動域>をつくり、即座にスイング
パワーを溜めることが可能。
  ④打点の低いボールの返球に極めて有利。

                                         
第5図 片手バック<EEタイプ>のスイング軌道 (概念図))  第6図 片手バック<EEタイプ>のスイングスパン(概念図) 
    
   片手バックハンド<EEタイプ>のスイングは、ラケットと利き腕の
   肘を前方に向けて、利き腕のヒジ関節を謂わば扇の要(蝶番)とし
   上下腕を扇の要に直角に開くようにスイングするのがポイント
   です。スイングパワーが100%効率的にラケットに伝わります。

       
 <EEタイプ>のスイングは
 上腕を180度の範囲で振れば
 充分です。(左図赤矢印参照)

 パワフルなスイングは利き腕の
 肘でラケットを強く、速く打点に
 向けて引き出す事で可能と
 なります。
 
 <EEタイプ>は
 ラケットを打点に向けて押し出す
 フォアハンドとは逆に、ヒジを
 強く動かしてラケットを打点に
 向けて引き出す<引くスイング>
 です。

 前方にラケットと利き腕の肘を
 向けて引き出す過程でタイミング
 良く打球し、フォロースルーに
 パワーをつぎ込む必要は
 ありません。
 

 
スイングとはラケットを持つ利き腕の肘のパワー&リードで ラケットを振ること
 
    スイングの主役は肘です。肘はスイングの推進(FH)/牽引(BH)原動力であり、司令塔/方向舵です。特にBHでは
  肘を前方に向け、肘の先行リードでラケットを
強く振らなければ、ボールを力強く正確に打つことが出来ません
  
特に片手バックBHでは、(ヒジ―グリップ―ラケットヘッド)が作る3角形を崩さずにスイングすることが大切です。  


 
(1)スイング軌道 正しく強いスイング軌道は、体軸を支点とする自然な円/半円/直線軌道です。

  
打球はスイングの支点(軸)、つまりフォアでは頸椎/バックでは前肩を基点とする自然な円軌道/半円軌道、或は直線的軌道の中で
    ボールを捉えて行うのが基本です。
従って、打球の時点ではスイングの支点(軸)の動き/回転を停止するのが基本です・・・第5図参照


 
※スイングの支点を動かさない手段として、インパクト時に打点に眼を残すことも非常に大切です。自然な軌道から
   外れて、ボールにラケットを当てに行くスイングでは、軌道からの乖離が大きいほど、打球ミスが増えます。


 スイングは全身運動
姿勢正しく、足腰の動きを上手く活用するのがポイントです!身体の上半身だけで、
   腰が浮いたまたは、伸び切った状態で、または小手先だけでスイングを行うプレイヤーがいますが、膝を軽く曲げ、
   腰を少し落とし、下半身(足腰)を巧く柔軟に使わないと、力強くコントロールの正確なスイング/打球は不可能です。
   ※足の位置、構えをとやかく言うコーチがいますが、足は上体と腰の構えさえ正せば、自然と正しくセットされます。


  

 
(2)大切なヒジの機能 スイングとはヒジを振ること=ヒジはスイングの原動力/司令塔です
 
  スイングのメカニズムは、フォア(FH)とバック(BH)では全く異なります。従って、肘の使い方も異なります      
 
 
※スイングの主役は肘です!特にバックハンド(BH)では、肘を巧く使わねば良いショットを打てません!

 
原動力機能
肘はスイングを推進/牽引するエンジンです   
    スイングとはラケットを持つ腕の肘を振ること。肘を強く振らねば強いボールを打てません。
   片手バックハンドで力を入れ難いのは、①グリップの誤りと、②肘を打点に向けて強く振らないのが原因です。
    
ヒジの原動力機能を巧く活かすには、スイングを極力ヒジの高さで行なうのがポイントです。何故なら、フォアハンドでは、
   肘のバックアップ(パワーアップ)、バックハンドでは肘のアシスト(パワーアップ)に役立つからです。

   
   
フォアハンド=<押すスイング>・・・肘(=リアエンジン)の推進力で、ラケットを打点に向けて押し出すスイング。
   
バックハンド=<引くスイング>・・・肘(=フロントエンジン)の牽引力で、ラケットを打点に向けて引き出すスイング。

 フォアハンドは肘(リアエンジン)の推進力で、ラケットを打点に向けて押し出す<押すスイング>が基本です
   
肘を体幹に強く引き付けるパワーが、<押すスイング>の推進力=打球パワーを一層強化します。右腕(利き腕)が身体の
  後ろに付いているフォアハンドでは、グリップをイースタン、コンチネンタルとする場合、<ラケット推進可動スパン>つまり、
  ラケットのフォワードスイング開始地点から打点までの短い距離を<押すスイング>でスイングし、打球を行うのが自然であり
  基本です。

  グリップをウエスタン/セミウエスタンとする場合、窮屈ですが、<引くスイング>が可能となります。

 
FHでは生憎、<ラケットの推進可動域>がかなり短くてパワーとスピードを溜め難い上、<押すスイング>にはスイングに体重を
  乗せ難いためパワー不足であり、身体の捻り/捻り戻しによる両肩の回転を伴うインサイドインのスイングや、後ろ足から前足への
  
意識的な体重移動を行うなど、追加のパワーアップ策が必要不可欠となる大きな欠点/デメリットがあります。
  
  
 フォアハンド(フラット&トップスピン) は体幹の後ろから体幹(ヒジ)までの長い<ラケット可動域>を、多少なりともヒジと
  グリップ先行の、つまり、ラケットがヒジとグリップよりも遅れて振り出される<引くスイング>で多少なりともスイングに体重を載せ、
  パワーを溜めることで以後の<ラケット可動域>の<押すスイング>のパワーアップを図るのがベストではないかと思います。 
  ※事実、打点が高めのフラットショットを結構強いスライス気味のスイングで打つ女性アマチュアや非力な男性も多数います。


 
バックハンドは、肘(フロントエンジン)の牽引力でラケットを打点に向けて引き出す<引くスイング>が基本です  
  
 肘を体幹から強く引き離すパワーが、<引くスイング>の牽引力=打球パワーを一層強化します。但し、テイクバック時にヒジを
  打点或いはスイング方向に向けておくのが条件です。

 
 右腕(利き腕)が身体の前に付いているバックハンドでは、ラケットがスイング開始地点から、体幹(ヒジ)を追い越すまでの
  <ラケット牽引可動域>が長いため、グリップをバックハンドウエスタン/セミウエスタンとして、スイングをインサイドアウトの
  <引くスイング>で行うのが、自然であり、基本です。
  
米国の大リーガー、エンジェルスの大谷選手が楽々とホームランを打つのは、彼が右投左打であり、利き腕の右腕でバットを
   打点に向けて引き出す<引くスイング>でボールを打つからです。大谷選手のスイングには「力感が無い」と評されています。

  
私は幸か不幸か女性から肘鉄砲を喰らったことがありませんが、喰らった男性が気絶するほど強烈である由。  
     従って、テニスにも、片手バックハンドに最強の肘鉄パワーを利用しない手はありません。標的を打点に定めれば、  
     肘鉄パワーの最も効率的な活用が可能となります。

  
片手バックのスイングをヒジの始動/先行リードで行う場合に、最も力強く正確なショットを打つことが可能となります。つまり、肘を自然な
  スイング軌道上で振る場合、即ち、肘を、<ラケット-グリップー肘>が作る不等辺3角形の平面上に載せて振る場合に、最高速/最強の
  スイング/打球を可能とします。従って、フォアハンドのような追加パワーアップ策を必要としない大きなメリットがあります。
 
  
 
  
ケットの<牽引可動スパン(域)>が充分長い<引くスイング>を行うバックハンド(BH)では、スイングに
  パワーを充分溜める時間的余裕もあり、スイングに体重が乗るため、パワーアップのための追加補強操作は不要です。

  
  (参考) バックハンドの<引くスイング>は、フォアハンドの<押すスイング>よりも遥かに強力です。何故なら、<引くスイング>には体重が乗りますが、
  <押すスイング>には体重を乗せ難いためです
鋸は、木材を切る場合、身体の内側に向けて引く場合、つまり、<引くスイング>の場合、
  鋸に体重が乗るため
パワーが強力であり、木材を切るのが楽ですが、身体の外側へ向けて押す場合には、鋸に体重を乗せ難く、木材を切るのが
   容易ではないのと同様、フォアハンドの<押すスイング>には体重を乗せ難く、スイングパワーはかなり劣ります。

 
肘はスイングの司令塔/方向舵 肘はスイングをリードする司令塔です。 

   コントロールの正確な強いスイング/打球を可能とする :
  
肘は、肘の位置/高さ/向きを調整し、肘/手の平/ラケットの打球面を正しく前方打点/スイング方向に向ける司令塔です。 
  スイングとは、手の平と肘を前方スイング方向に正しく向けた状態でラケットを持つ利き腕の肘を振ることですが、大切なことは、
   肘の牽引/推進機能、司令塔/方向舵機能、加速機能を100%効率的に活かすためにはFHでもBHでも、
  
極力スイングを肘の高さで/肘を打点に向け、肘のバックアップ(FH)/先行リード(BH)で行なうことが基本です。

  
※フォアハンドでは通常、肘と打点の高低差が大きく乖離しがちなので、ヒジのスイングパワーのラケットへの伝達効率が
   低下しがちです。バックハンドでもグリップとスイングタイプを間違えると、同様なパワーロスを惹起します。

   


 (3)スイングタイプ肘の使い方によって、スイングのメカニズムが異なり、スイングは以下の4種類のタイプに分類されます
  
引くスイング、 ②押すスイング、 ③準・引くスイング、 ④引いて押すスイング.
    引くスイング
      バックハンド(EEタイプ)=フラット/トップスピン/スライス/ボレ-・・・スイング軌道はインサイドアウト 

  グリップをBHウエスタン/セミウエスタンとし、肘の牽引力とリードでラケットを打点に向けて引き出す<引くスイング>
 
 ※<ラケット牽引可動域>が長く、スイングにパワーを載せる時間的余裕があり、引くスイング>には体重が自然に乗りますから、スイング/打球パワーは
    非常に強力です。従って、
スイングパワーアップ目的の身体/腰の捻り/肩の捻り戻し等のフォロースルーは不要となるメリットがあります。
 
    但し、グリップとヒジの使い方を誤ると、スイングが<押すスイング>に劣化し/パワーダウンしますから要注意。   
  
※バックハンドの<EEタイプ>は全スイングタイプ中、唯一身体構造上の制約を受けない、つまり、自然×シンプル=合理的な
     スイングタイプであり、スイングに体重が乗る<引くスイング>ですから、最強/最高速の完璧な省エネスイングタイプです。


    押すスイング
     
フォアハンド=フラット&トップスピン・・・スイング軌道は通常インサイドイン  
 
    
通常、グリップをイースタングリップとし、
フォワードスイング開始時点から、ラケットを肘の推進力で打点に向けて押し出す
  <押すスイング>。肘を体幹に強く引き付けると同時に、上腕を前方へ向けて振り、下腕を前方へ曲げつつ、ラケットを
  打点向けて押し出す
<押すスイング>です  
    
※<ラケット推進域>が短い<押すスイング>では、スイングにパワーを溜め難く、体重を乗せ難いため、身体の捻り/捻り戻しや意識的な
   体重移動などの追加パワーアップ策が必要不可欠となる大きなデメリットがあります。
 
   
  ※両手打ちバックハンドもバックハンドの押すスイングですが、ここでは論じないこととします。何故なら片手打ち
<EEタイプ>の方が両手打ちよりも
   遥かに自然、シンプル、合理的であり、最強/最高速のスイング打法だからです。
         
  
フォアハンドンドの場合でもウエスタン/セミウエスタングリップを用いる場合、スイングはかなり窮屈ながらも、<引くスイング>が可能となります。     
  
  
準・引くスイング
    FHフォアハンド=
スライス&ボレー
 ・・・スイング軌道は通常ほぼ直線的か半円形型 

    通常フォアハンドのグリップはイースタン/コンチネンタルですが、グリップエンド/ヴィーナスヒルをスイング方向に向けて
    スライスでスイングを行う場合、つまり、グリップ/ヒジがラケットよりも先行リードするスイングは<準・引くスイング>となります。
 
 
 
この場合、スイングに多少体重が乗り、ボールにかかる逆スピンの浮遊力もあり、ボールを比較的強く遠くまで飛ばせるため、多少 非力なプレイヤー
   (特に女性)にとって、グリップをイースタングリップとしてフラットショットを打つ場合にも、かなり強力な武器となります。
事実、このスイングタイプで
   結構強いショットを打つプレイヤーは多勢います。
   ※肘を体幹に引き付けつつ、終始、グリップエンドを先行させて打球する場合には、<準・引くスイング>となります。


  引いて押すスイング
   FHフォアハンド)=サービス、スマッシュ&ハイボレー・・・
スイング軌道=半円形/ほぼ直線

   ラケット振出時点では<引くスイング>、直後にプロネーションなどで、手の平を打点に向けて<押すスイング>に変換するスイング。  
  ※フォアの<BAIタイプ>とバックの<EEタイプ>双方の最強原型スイングタイプのハイプリッドタイプなので、打球は最強です。


 (4)トップスピン : 
   フォアハンド=◎+プロネーション
 バックハンド=×+スピネーション

  フォアハンドFHでもバックハンドBHでも、トップスピンを打つ場合、テイクバックはラケットの打球面を多少伏せ気味にして、
  膝の後辺りにセットするのが自然です。トップスピンを打つには、ヒジの力が必要です。単に、ラケットを手首を使って
  振り上げてボールを擦りあげるのではなく、ラケットを持つ利き腕の肘を
ラケットと一体としてしっかりと振り上げて、ボールを
  ラケットで強く擦りあげる必要があります。手首を使う小手先で打っても強いスピンはかかりません。


 フォアハンド
   ①単純に肘の推進力でラケットを下から上へと振り抜くことでボールを擦りあげる方法と、②ワイパースイングで
  プロネーションを用いる方法と、2通りの方法があります。どちらもラケット面が被り気味の段階でボールを叩くと効果的です。
 

 バックハンド :

   スイング開始後、未だかぶり気味のラケットの打球面を、振り抜く際にコート面にほぼ垂直に立ち上げる過程で
   スピンを掛ける方法が正しいと思います。   
   この場合、打点は当然フラットの場合よりも多少体幹に近くなります。これにも以下の2通りの方法があります。
   ①スイング途上でラケットの打球面が未だやや被っている(下方を向いている)段階でボールを引き付けて叩く方法。 
   ②グリップをバックハンドウエスタンよりもやや厚めのバックハンドフルウエスタンとしてボールを叩いて振り抜き、擦りあげる方法。

   
この場合、スイングを他のスイング(フラット、ボレー)と同様に打点に肘の高さに向けて・・・手の甲/平と同一平面上の
     行うことが可能となり、ボールがネットを超えて相手のコートに突き刺さるような鋭いトップスピンを掛けることが可能となります。

 
※バックハンドでスピネーションでスピンを掛ける説がありますが、フォアハンドとバックハンドとでは、スイングのメカニズムが異なります。
 バックハンドでスピネイションを掛ける場合、スピンはかかりますが、ラケットの当たりが薄く、球威がかなり低下する大きな欠陥があります。
 スピネーションのような小手先の打球方法では球威のあるトップスピンを打つことは不可能です。むしろプロネーションの方が
 ベターなのかも知れません。


 (5)サービス
球威のあるサービスを打つポイント ;・・・・・・ トスの位置とヒジの使い方が重要

 打球の構え

   身体を横向きとし、前肩を打球方向、つまり打とうとするターゲット方向に向け、ラケットを持つ利き腕のヒジを
  肩より上に上げ、ラケットを背後に落とすのが基本です。ボールのトスは無心の状態で行うと巧く行きます。

 
サービスのスイングタイプ :
   ラケットを打点に向けて、上下腕(ヒジ)を伸ばしつつ<EEタイプ>=<引くスイング>で振出し、直後に上腕を
  <BAIタイプ>=<押すスイング>で前方へ向けて振りつつ、上腕にプロネーションをかける<EEBAIタイプ>で

  スイングを
行うのが普通です。肘を大きく強く振るほど打球を強めることが可能です。
  スイング球種には、下記の5種類があります。

 

  ①ストレート:文字通り、真っ直ぐの直球、 
  ②スライス 右利きの場合、落ちてから弾まずに
相手のフォアハンド側に低く逃げるスライスサーブ ;赤字部分を追加  
  ③トップスピン強いプロネーションをかけて落ちてから高く弾むトップスピン 
  ④ハーフスピンスピン : スライス気味のトップスピン
  ⑤リバース 右利きの場合、スしたボールの左側を強く叩いて右手利きの相手のバックサイドに
        落ちてから低く逃げるサーブ。
 ;赤字部分を追加    
 
 サービスの打点位置 : 

    球種によって多少異なりますが、身体を横向けとする場合、適切な打点の位置、つまりボールをトスする位置は、
  ①、②,④の場合、体幹よりもやや前方;前肩の右前辺り、③、⑤の場合、ほぼ頭の真上のやや前方です。
   
 
グリップ
   
通常、サーブ&ボレーとするため、採用するグリップは通常コンチネンタルが基本ですが、イースタングリップでも
  打つことが出来ます

 
スイング
   スイングの主役(原動力/司令塔)はヒジです。球種にもよりますが、ヒジを肩よりも上にセットし、ヒジの先行リードで
   ヒジを強く振るのが球威のあるボールを打つポイントです。プロネ-ションの強弱でボールの回転強度をコントロールします。

 
打 球 :
   打球時には左足(前足)を軸足として動かさず、打球後は一瞬打点に眼を残してフィニッシュするのが基本です。
  打球直後に頭を動かしてボールの行方を見ると、フォールトになり易いので要注意です。

 セカンドサービス

   セカンドサービスは、ダブルフオールトを避けるため、
通常トップスピンを掛けるのが基本です。打球直後に頭を動かして
   ボールの行方を見ると、フォールトになり易いので要注意です。 


  (6)フォロースルー フォアとバックではスイングのメカニズムが違います。当然フォロースルーも異なります。
 
  スイングの支点(体軸)を静止させるため、インパクト時点で打点に一瞬でも眼を残すこと。
         

   フォアハンドストロークは<押すスイング>なので、スイングに体重を乗せ難く、パワー不足を補うため、頸椎をスイングの
  支点とする、インサイドインの身体の大きな捻り戻し(横回転)を伴う大きなフォロースルーが必要不可欠です。 
    

  バックハンドストロークは<引くスイング>なので、スイングに体重を乗せ易く、バックハンドでは、右肩(前肩)が
  スイングの支点(軸)ですから、インパクトの時点では、右肩の動き/回転を止め、力を抜いてラケットとヒジを前方へ
  突き出す/投げ出す形で、実質的なフォロースルーは極めて短く、コンパクトにフィニッシュするのが基本です。

 
 
 
(7)力学方程式 「バックハンド(BH)に力を入れ難い」という定説は、大間違いです
  
 強い片手バックを打つベテラン識者は、力を入れ難いのは、むしろ<フォアハンド>だと述べていますが、正解です。


 
運動量 Momentum=質量 Mass × 速度 Velocity というスイングの力学方程式があります。

  
これは、打球の強さはラケットの重量とスイング速度に比例するという方程式ですが、質量Massをラケットにかかるベクトル
  (運動の方向量)に置き換えて考えれば、①スイングに体重が乗るバックハンド(BH)ショット=<引くスイング>の方が、
  スイングに体重を乗せ難いフォアハンド(FH)ショット=<押すスイング>よりもべクトルが大きい。

 
 ②スイング速度も、肘を伸ばしつつスイングするバックハンドの方がスイング半径が大きく、肘の小さな動きで鞭を振るように
  高速です。一方、肘を折り畳みつつスイングするフォアハンドショットはスイング半径が小さく、肘のスイングが大きい割には
  スイングスピードが低速であることを勘案すれば
、理論的にFHよりも、BHの方が打球のパワーが強力であることが判ります

 
※つまり、打球の強さは、単純化すれば、バックハンドの場合、(ラケットの重量+体重)Xスイング速度、フォアハンドの場合、
   ラケットの重量+身体の回転力)Xスイング速度となりますが、フォアハンドの<押すスイング>よりも、バックハンドの
  スイングに体重を乗せ易い<EEタイプ>=<居合抜き型>=<引くスイング>の方が遥かに強力であることは明白です。