理想のレッスン ・・・ ベオグラードでの短時間だったが極めて貴重な個人レッスン 2021-12-6 rvsd

  筆者が初めてテニスラケットを持った1980年の個人レッスンでしたが、今になって考えてみると、現在でも充分通用しうる、       合理的、具体的且つ明確なレッスンでした。短時間の間に、結構細かなことまで基本を漏らさず教えてもらったような
  気がしています。特に下記の2点をマスター出来たのは、その後の私のテニスライフの指針となる大きな収穫でした。

   筆者が学んだのは、
今になって思うに以下の2点です

  片手バックの正しいグリップ
   バックハンドショット(ストローク/ボレー)の正しいグリップはバックハンドウエスタン/セミウエスタングリップであること。
  片手バックハンドフラットの、①正しい打点の位置 と、②正しいグリップの作り方 : フラットの正しいグリップは、①打点の
  位置と高さに合わせて、②スイング方向の真後ろを手の平の最強スポットで支えるバックハンドウエスタングリップであること。
                                                             
  
片手バックの正しいスイングタイプ
   バックハンドショット(ストローク/ボレー)の唯一正当なスイングタイプは、日本刀の居合抜き型。これは、
  後に筆者が上下腕延伸型=Extending Elbow at right angles Type=<EEタイプ>と命名した<引くスイング>
  タイプであることでした。
片手バックは例外なく、全てがラケットを打点に向けて引き出す<引くスイング>です
  ・・・
(参照)因みに、フォアハンドは殆どがラケットを打点に向けて押し出す<押すスイング>です
       
  片手バックハンドショットで
<EEタイプ>ほど物理的、力学的に合理的、効率的なスイングは他にありません。
  しっかりと肘を大きく強くスイングしさえすれば、小さな力でボールを強く、コントロール良く打てる
省エネ/エコタイプです。
  これは肘の牽引力と先行リードでラケットを打点に向けて引き出す<引くスイング>です。
 
   私は、1980年に駐在地のベオグラード(昔のユーゴスラビア、現在はセルビアの首都)のディプロマティック
  (外交官)クラブのテニスコートで硬式テニスを覚えたのですが、当時西ドイツでプロ選手のコーチを務めていた
  
オーストリア人の老ベテランコーチから、1時間の個人レッスンを受ける機会がありました
  前半30分はフォアハンドストロークのレッスンで、そのレッスン内容は記憶に残っていませんが、
フォアハンドの打球には
  特に問題がなかったのでしょうか、
後半30分の片手バックハンドストロークのレッスンは不思議なことに、今でも昨日の
  出来事のように鮮明に思い出すことができます。
  そのコーチレッスン法は、闇雲に球出しをして打たせるのではなしに、1つ1つの段階を踏んで、片手バックハンド
  ストロークの素振りを、グリップ⇒テークバック⇒スイング⇒フォロースルーを反復して徹底的に教え込むことでした。

  コーチの教えの重点は、”スイングを自然
且つシンプルに行う” ことでした。

  実際には、下記のチェックポイントを、ドイツ語で、片言の日本語(僅かにサムライ、日本刀、居合抜き、
  右/左だけ?)を交えながらのレッスンでしたが、基本を教えるのに何度も球出ししてもらってボールを
  打つのではなく、所要時間が僅かでしたが、彼が教えてくれたのは正に身体とラケットを自然で、シンプル且つ
  合理的に機能させるスイングの基本原理であったと思います


  バックハンドストローク(フラット)のレッスンは、以下の通り、物理的、力学的にも正しいレッスンでした。


  (1)片手バック(フラットの)グリップ
     コーチが打球位置(打点)に合わせて持っているラケットの柄を、腕を、手首を折ったり、肘を曲げたりせずに、
   自然にすんなりと伸ばした手で素直に掴む形。それが
フラットを打つバックハンドウエスタングリップで、
   手の甲が殆ど地面に水平/上方向きで、 これが打点に合わせた自然な正しい
フラットのバックハンドグリップ。
  (注)スイング方向の真後ろに親指と人差し指が作るV字型を添えるグリップがバックハンドウエスタングリップです。
 
(2)片手バック(フラットの)打点
   
スタンスは身体を横向きにするスタンス、つまり前肩を打球方向に向ける構えとし、両膝を少し曲げて腰を落とし、
   リラックスした構えで、ラケットを持つ右腕を自然にすんなりと身体の斜め(約45度)左前側に伸ばして掴んだ  
   ラケットのスイートスポットが正しい打点の位置、(注:ラケットと上腕の角度は通常約135度)つまり、片手バックの
  打点は右肩の左斜め前ほぼ20度に位置します。
片手バックの打点の高さは鳩尾付近です
  (注)片手バックの打点の位置は、フォアハンドの打点の位置よりもほぼ両肩幅分だけ前方、高さはフォアハンドの 
     打点(=腰付近)よりも高く鳩尾付近です。

   
  (3)片手バック(フラットの)テイクバック :    
    フラットスイングを開始する場合、ラケットを持つグリップが左腰~左胸の側面に軽く振れる程度のテークバックを行う。
  
テークバックしたラケットヘッドは時計の針の3~4:00am付近に向け、ラケットを持つ腕の肘を前方スイング方向に向ける。
  

  (4)片手バック(フラットの)スイング
    日本刀を左腰の鞘から引き抜きざま、相手の右胴に切りつける/叩きつける居合抜きのように、ラケットを肘を
  先行として身体の後方、腰
の高さから引き出しざま、大きく強く速く振り、ボールを引っ叩く。ラケットを持つ肘を
  大きく強く速く引き出すことが
肝心。肘よりもラケットが遅れて振り出される。打点に向けて頭を残し、スイング軌道は
  インサイドアウト。
シングルバックハンドショットはスイング時にはインパクト時点まで、後ろの肩を開かずに残さねば
  なりません。
スイングはラケットを打点に向けて押し出すのではなく、引き出すこと。スイング練習中にコーチから、
  「
ラケットを強く、速く引き出せ!」と言われました。意識的なフォロースルーは不要です。
  (注)片手バックハンドは全て<引くスイング>が基本です。  

   実際にボールを打つのも、日本のコーチのように球出しして闇雲にボールを数多く打たせるのではなしに、コーチが筆者の
  素振りを何回かチェックして、グリップ/打球の構え/スイングの形がほぼ正しく整い、固まったと判断した時点であり、
  実際にボールを打ったのは僅か5~6球だけでした。

  当時の私は超多忙な商社マンであり、不定期な出張が多かったこともあり
、当時の老コーチは日本大使館の
  生徒の引っ張りだこでしたから、
同コーチとのアポイント取得が難しく、再度レッスンを受けるチャンスを作れなかった
  ことが悔やまれます
が、一度きりだったからこそ、片手バックハンドの極意の印象が深く残ったのだと思います。